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今回は犬と初めて暮らしたらだいたい避けては通れないかもしれない?道、「散歩で引っ張る問題」について書こうと思います。
もちろんこれから犬と暮らしたい人にも一緒に考えて頂けたら嬉しいです!
犬が引っ張ってお散歩が大変なら
犬がなぜ引っ張るのか理由を考えてみる
犬が引っ張る理由は様々なのものがありますので、ここでは例をいくつかあげてみます。
- やる気満々♪目的地にはやく行きたい
- 食べ物や追いかけたい物、調べたい物を見つけた
- 好奇心旺盛だ
- よそのヒトや他犬が好きすぎて突進したい
- 怖い音、よそのヒトや他犬などの刺激から身を守りたい、逃げたい(必要なら威嚇なども)
- リードが張ると前に引っ張る習性がある など
犬は後ろに引っ張られると前に引っ張り返す習性があるので、そもそも体が前に引っ張る様にできてるんですね。ソリ犬や荷物牽引をする犬はこの習性を利用しているといわれています。
- 引っ張ったらかいぬしさんが着いてきてくれた
- 引っ張ったら拾い食いや突進、回避などの目的が達成できた
- 犬の方が足がはやい
- リードが短かすぎてすぐに張ってしまう
- 力が有り余っている
- 普段からストレスレベルが高く興奮しがち など
特に後から作られた行動は本当に色んなケースがあるのでごく一部ですが…今回はSNSなどでよく聞くお話や、過去の経験からいくつかの理由を挙げてみました。
犬が引っ張るのは犬がリーダーになっているからではない
上にあげた例の通り、犬が引っ張るのは様々な理由があるわけで、それらは犬なら普通の反応であり、犬らしさとも言えます。
犬が上になってるとか言われますが、決して犬が俺様になっているからではないんですね。
- 上下関係、主従関係が逆転している
- 上下関係、主従関係がわかっていない
- 犬がかいぬしさんをナメてコントロールしている
ブー
これらの理論は今では全部間違っていたと判明してます。こちらの記事でも詳しく解説しています▼
犬がヒトとの間に順位付けをしない事は科学的に証明されていますので、リードショック(ジャーク、コレクション)や犬を強制的に抑える犬具(チョークチェーン、プロング、スリップリード、eカラーなど)を行って「主従関係を作ろうとする」事は無意味どころか犬との信頼関係を無くしたり、犬が体罰から身を守るために暴れて手がつけられなくなる・逃走して呼び戻しができないなど最悪な結末を迎える可能性があります。
トロントではプロングを使っていはいけない決まりですが、少数派で使う人がいます。これはご近所さんの実例です。かいぬしさんはシーザーミラン氏の動画で勉強して、愛犬はドミナンスだと言っていました。
背の高いタイプのアメリカンブリー♂
引っ張るたびにプロングとeカラーでショックを与えていたら、痛み・恐怖・不安・困惑をその時たまたま周りにいた他犬や他人とペアリングしてしまい、すれ違う度に噛もうとする様になってしまった→昼間は出歩けず、夜間のみの散歩に。
こうなる前はとてもフレンドリーで楓とも挨拶した事があります…
嫌悪刺激は周りの環境(人や犬を含む)とペアリングし、その子にとって怖い物や不安が増え、犬だけでなくかいぬしさんも生きづらくなってしまいます。
ではどうしたら引っ張りを平和的に解決できるのか?犬のためにできる事は複数ありますので考えてみましょう。
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引っ張りを止めるためにかいぬしさんが出来る事
まずは首輪ではなくハーネスにリードをつけよう
引っ張りが出ている子は首輪だと負担が一点集中して危険なため、ハーネスをおすすめします。
- 犬はリードとその先にくっついているかいぬしを引っ張っているので、ハーネスにすると引っ張りやすくなる訳ではない
- 引っ張る子は首輪でもハーネスでも引っ張る
- 引っ張りによって体にかかる力を分散する
- 首への衝撃でおこる病気(緑内障や舌骨の骨折など)の防止
- 首輪よりもいざと言う時おさえやすい
かいぬしさんが怪我をしているとか、他に頼れる人がいないなどの理由でどうしても道具に頼る必要がある場合は、引っ張り防止のイージーウォークハーネスやヘッドカラーもありますが、構造上一生使う物ではありません。
特にジェントルリーダーやハルティの様なヘッドカラーは首を痛める危険性があります。
もしもイージーウォークやヘッドカラーを使う場合も、リードワークを学んだり引っ張っていない時に褒めるなどを行って望ましい行動を強化し、最終的には犬の体に優しいハーネスに移行できるといいですね。
※ハーネスの使用=首輪をつけないという意味ではありません。首輪には鑑札や迷子札をつけてください。
お散歩コースを変えてみる
- 車などを怖がって逃げようとする
- この道に来ると引っ張る、などトリガーがわかっている
怯えて引っ張るという行動を出さなくて良い環境に変えてあげましょう。例えば、
いつもは繁華街を歩いている▶︎一本別の少しでも静かな道を歩いてみる
車通りの多い道で車やバイクを怖がる▶︎車通りの少ない道へ
この階段に来ると決まって暴れだす▶︎その階段は通らない
といった感じで。犬が何に驚いたのかわからなかったりする場合も、その環境になんらかの不快があると犬が教えてくれているので、大事をとって道を変えてみても良いかもしれません。
系統的脱感作と拮抗条件付けがよく行われる…安心安全な大幅な距離を確保して、スモールステップでトリーツなどを食べながら平気だねー何も起こらなかったねーを経験していく事(難しいのでプロに相談)
普段の生活の質を考える
- 生活環境や生活の質の見直し
- コミニュケーションの見直し
- アクティビティやエンリッチメントの提供
エンリッチメントは飼育下のすべての動物に必要です。
就業時間が長くお留守番の長い日本では、発散不足やかいぬしさんとの触れ合いが不足しがち。退屈な時間を少しでも減らせるよう、家族と協力して犬との時間を増やせるといいですね。
退屈でいたずらをするから叱ってばかりなら悪循環ですので、弄られて困る物は犬の届かない場所にしまう▶︎知育玩具など代替え行動やエンリッチメントを提供して発散を促し叱らなくて良い環境を整えましょう。
※いたずらと称される行動ですが人間の概念であり犬には「いたずらしてやろう」という悪意はありません。
- お留守番のお供にコング
- おもちゃはたくさん買ってローテーション、一緒に遊ぶ
- 噛む・舐める・破くなど▶︎噛めるおもちゃ、リックマット、ティッシュの空箱などにおやつやフードを入れて提供(要見守り)
- ご飯の時間にフードを知育玩具に入れて提供したり、宝探しして食べる
- ペットシッターさんに依頼して昼間遊んでもらう
お散歩自体が立派なエンリッチメントになります。お散歩中の(安全な地面での)匂い嗅ぎは特におすすめです。
コングの使い方と選び方についてはこちらもどうぞ▼
エンリッチメントについてはこちら▼
お散歩前の興奮レベルを下げる
- スタート時に大興奮しているとリードが張りやすくそのまま引っ張りがちに
- お散歩前にちょっと遊ぶ
- お散歩準備は直前に
家から出る前後にばーんと興奮度が上がってしまう子は、家の中でちょっと遊んで疲れてから行くのも良いと思います。宝探しやノーズワークなど鼻を使う活動は犬の興奮度を下げてくれます。
リックマットに無糖ヨーグルトなど少し舐めてから出発するのもおすすめ。
散歩だ散歩だガンガン行こうぜ!となりやすい若いうちは首輪やハーネスを装着するといった準備は家を出る直前に行うと良いです。例えばハーネスを着けてからかいぬしさんが「ちょっと待ってて」と言ってトイレに行ったりすると待たされる事によって期待とフラストレーションが上がり、早く行こうよ!と吠えたりして興奮度も上がってしまいます。
リードを長い物に変更する
- リードが張らなければ、犬は引っ張らない=長いリードに変更
- リードの範囲内なら犬が前を歩いても良いというルールに変更
リードを長い物に変え、周りに他者がいない場所では思い切ってたるませてみてください。リードが張ると引っ張る習性があるので、逆にリードが張らなければそれだけで引っ張りが減る子も多いです。
常に脚足歩行でリーダーウォークを頑張ろうとするとすぐにリードが張ってしまいますので、たるませたリードの範囲内を歩いてもらう様にします。他者がいる時はリードをたぐりながら犬の横に行って、短く持てばOK。
うちの楓は成長期の一番引っ張りが出やすい時期に120cmのリードを使っていましたが、180cmのリードに変えたらリードが張らなくなった為引っ張りも劇的に減りました。
150cmだと短いと感じます。3mだと扱える自信がないという方も、最低でも180cm以上がおすすめ。近くに他者がいる時に犬を抑えやすいハンドル付きで使いやすいですね。
これはナスカン外れの迷子対策に首輪とハーネス両方に装着できます。少し高いですが3年間無償修理保証付きなのでかえって節約になるかもしれませんね。
3mリードに挑戦してみたいかいぬしさんは、チャーリードッグスクール犬の森や全国のトレーナーさんが開催されているリードワークセミナーに参加してみましょう。
こちらの記事もどうぞ▼
引っ張らせずに歩く方法
- リードが張ったら脇を閉めてリードを固定し、膝のクッションを使ってぬっと柔らかく止まる
- 引っ張り返すと犬が更に引っ張るのでNG
- リードが張らない様に、曲がる時などは声かけを習慣化して犬に覚えてもらう
- リードが張らない距離で歩いている時に褒める
- リードが張ったら一瞬ぬっと固定してゆるめる
詳しいリードワークは罰を使わないトレーナーに教えてもらったり、チャーリードッグスクール犬の森で学びましょう!
引っ張りがルーティーンになっている子は引っ張ったらかいぬしが着いてきてくれているので、行動が強化されている場合があります。そのルーティーンを変えてあげましょう。
基本的にリードは両手で持ち、引っ張る犬に着いていかずに止まるだけです。木になるイメージで、止まってくれたら「ありがとね」や「good」など声かけしてOK。
犬を止めたらリードを引いて犬を引き寄せるのではなくこちらが犬に近づく様にします。力をかけて引っ張り寄せるのはこちらも疲れますし、犬の体が斜めになったりして負担がかかります。
犬に話しかけながら歩くのは恥ずかしいかもしれませんが、ご自分の動きに合わせて「曲がるよ」「渡るよ」「ストップ」「ゆっくり」などアナウンスを繰り返していくと犬は言葉と行動を覚えますのでリードが張ることも少なくなります。
そしてリードが張らないで歩けている時に褒める事が大事。歩きながら褒めて小さくちぎったトリーツをあげたりする事で、「かいぬしの近くにいたらなんか良いね」とも思える様になります。
「カム」「いくよ」など声をかけながら歩き出し、犬がこちらにフォーカスして歩き出したところで声で褒めて行動をマークし、犬が追いついて一緒に2~3歩歩いた時点で歩きながらトリーツを口元に届けてあげると犬にわかりやすいです。
トリーツは小さく千切れるものを回数多く使いますので、お散歩中片手で取り出せるトリーツポーチなどを腰に装着しましょう。
トリーツには小粒のフードも使えます。1日分の給餌量からお散歩用に持っていくと肥満予防になります。
よく「徐々にトリーツを減らしていきましょう」と言いますが、上手に歩ける距離が伸びると自然と「声をかけて行動をマークしてトリーツ」の行為自体が減っていきますのでそんなに気にしなくて大丈夫。
しかし犬の学習は生涯続きますので、「しつけが入った」と思って何もしなくて良くなる訳ではないと思います。いくつになってもお散歩用のトリーツは持っていき、なんでもない時(=穏やかに過ごせている=伸ばしたい行動)を褒めてあげたりしていきましょう。
突発的な引っ張りへの対処はこちらの記事もどうぞ▼
今回すでに引っ張りが出ている子の対処について書きましたが、最初から快適なハーネスを着て、リードワークを駆使して長いリードを使い、正の強化を使って望ましい行動を増やしていったらあまり困る事にはならないと思います。
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他にかいぬしさんがやる事は犬を守る事
犬との引っ張り合いがなくなると歩くのが楽になりますし、散歩が楽しくなりますね。
では楽になった分、かいぬしのリソースをどこに費やすかというと、犬を守ることだと思います。
- 拾い食いする様な物が落ちていないか
- 車、通行人や自転車、よその子供などとの距離
- 近づくよその犬、またその犬のボディランゲージ
- 小動物がいないか
- 避けなければいけないなら道を譲れそうかどうか…etc
けっこう見なければいけないものが多いので、都心部ほど大変かと思いますが、毎日やってると慣れます。
またリードを長めのものにした場合、引きずってしまうと犬の足に絡んでしまったり、街中では他者に近づきすぎて迷惑をかけてしまったりと、いつも伸ばしておく訳にはいかないもの。
長いリードを他者がいる所や混んだ道で伸ばしっぱなしにしていては犬にとっても危険ですので、両手でリードを持って手繰りながら状況に合わせた長さをたるませて使うというリードワークのレベルアップもしていきましょう。
やることが多い…!と感じるかもしれませんが大半は慣れですし、犬に引っ張らせないお散歩をさせられる様になると、コミュニケーションをとる余裕もうまれて物凄く楽しくなります。