前回の記事ではストレスの少ない歩き方「ゆるウォーク」について書きました。
じゃあお散歩を安全に楽しむために、かいぬしさんは何を見ながら歩いたらいいの?というお話を書こうと思います。
犬とお散歩をする全てのかいぬしさんへ。
犬を守る為に注目するといい危機管理のヒント集です。
これから犬を迎える方も参考にしていただければと思います!
散歩中の注意点/周囲の環境について

- 車・バイク・自転車(車は停車中も)
- 猫や鳥などの動物
- よその人
- お年寄り
- ベビーカー・幼児・児童
- 落ちている食べ物
- よその犬
ひとつずつ見ていきましょう▼
車・バイク・自転車に注意する
車の事故はもちろん恐ろしいですが、結構多いのがバイクや自転車との出会い頭の事故です。
交通量の多い道や見通しの悪い交差点では必ず犬にヒール(着いて来てね)して貰い、犬を先に行かせない様にしましょう。
また停車中の車が発進するかもしれない・ドアが開いて乗り降りがあるかもしれない事も頭に置いておきましょう。
車の下には動物がいるかもしれない?
最近は猫の完全室内飼育が広まっていますが、地域によってはまだまだ外で猫をみかけますね。
車の下にいた猫が飛び出すかもしれないので、停車中の車の横を通る時は注意が必要です。
私と楓は車の下から飛び出すリスに苦労させられてます。
これはトロントでの出来事ですが、ご近所さんのシーズーがお散歩中、突然オロオロしたのでしゃがんで抱き上げたところすぐ横に停車中の車の下にコヨーテがいたそうです。
すぐ抱き上げたから助かったよ、とのこと…早朝や夜間のお散歩は意外な野生動物に遭遇する可能性があります。
猫や鳥などの動物に注意
まだ若くて猫や鳥に大興奮する子の場合、「かいぬしさんを引っ張って追いかける」経験を積ませない方がいいです。
なるべく犬よりもかいぬさんが先に動物を見つけられると先手が打てるので楽ですね。
動物を先に見つけたら…
- 見せない様に別の方向へ歩く
- トリーツを別の方向や足元に投げて注意をそらす
- 名前を呼んだりヒールのキューで注目して貰う
など犬に動物をロックオンさせない様に立ち回りましょう。
ストレスレベルが高く動物を見た時の興奮が凄すぎてお散歩がままならなくなる子は、トレーニングよりもお散歩を最後まで楽しんで満足する事や、普段のストレスのケアの方が優先です。
まずは見せない事→大幅な距離を確保して遠くにいる状態から段階的に「動物はなんでもないもの」になる様に手伝ってあげたいですね。(難しいのでCPDT-KAやR+などのプロに相談)
五つの自由を参照に犬に多大なストレスがかかっていないか、生活の見直しもしてみましょう。

接近するよその人に注意
世の中にはアレルギー持ちの人や犬が苦手な方もいらっしゃいます。
犬が苦手な方は当然犬の扱いに慣れていないので、驚いて大きな声を出したり、急に飛び退いたりして結果的に犬を興奮させてしまう事もあります。
犬が好きだけど飼っていない人の中には勝手に犬の頭を触ろうとして急に手を出してくる人もいて、驚いた犬が噛んでしまう事も…!
知らない人とは距離を取るのが無難です。
知らない人に触らないでねという意思表示ができるこんなグッズ▼も便利でおすすめです。
接近するお年寄りに注意
犬が大好きなお年寄り…わしは昔同じ犬種を飼ってたんじゃと言う、触りたい気持ちは痛いほどわかります。昔飼ってたから犬の扱いに自信があるんじゃ!とか気持ちはわかるのですが…
特に中型犬以上の大きさの子は飛びつきや足下への擦り寄りで転ばせてしまうかもしれません。
お年寄りは結構簡単に転んでしまうので、いくら向こうがおいでおいでと呼んでも「すみません、この子はトレーニング中で」などやんわりお断りした方が良いでしょう。
犬が必ず落ち着いた状態で、お年寄りがしっかりした椅子などに座っている場合などは触ってもらってもいいかもしれませんね。
妊婦さん・ベビーカー・幼児・児童に注意
若犬や子供に慣れていない犬にとっては、「ちいさい人間」に興味津々で興奮してしまったり、飛びついて転ばせてしまう事もあります。
妊婦さんやベービーカーを押しているお母さん、お子さんを抱っこや手繋ぎで歩いている方は犬が飛びついてしまったりした際にパッと避けることができません。
思わぬトラブルにならぬ様、道をゆずり距離をとりましょう。
動物を飼育した事がない親御さんの中には、TVなどの影響で「犬は子供に優しい」と思い込まされている方も多く、「わんわん触っておいで」などと子供だけよこす方もいらっしゃいます。
また大人が子供を見ていなく、子供だけで犬を取り囲んでもみくちゃに触られまくったり…小学生にリードを取られて犬が引き摺り回された、石を投げられた、棒で突かれたなどの話をSNSで読んだ事があります。
犬にとってもストレスやトラウマになりますが、その子供にとっても「犬をおもちゃの様に扱って良い」と思わせてしまうことは非常に良くないですよね。
いずれも追い払おうとして噛みつきや転ばせに発展する可能性大の状況です。
言葉が通じそうな子供なら「ごめんね〜よそのヒトが苦手だからダメなんだ〜」など適当な嘘をついて距離を取ったり、正しい犬とのあいさつの仕方を教えてあげたり、小型犬であればサッと抱き上げてその場を離れるのも手です。
子供だけでよその犬を取り囲んだり、ダダダ〜っと走ってきて触ったりという事はまずありません。
- 12歳まで外出時は大人が同伴する事になっている
- 親が犬は噛むものと教えている
治安の差になりますが大人が必ず子供を見ているので、外では手をつないでいるかハーネスを着けている子供が多く、この点では日本より犬の散歩が楽だなと感じています。
落ちている食べ物に注意
これも
と同じく、かいぬしさんが先に見つけて犬に見せないように立ち回りましょう。「犬は食べられるものと食べられないものを自分でわかっているから、拾い食いの判断は犬に任せる」という流派(?)もあるみたいですが、私は拾い食い絶対阻止派です。
- 犬はスカベンジャー、掃除屋と呼ばれるほどなんでも食べてしまう
- 何世代にも渡って大切に育てられた結果、野生動物の様に食べられるものの選別はできなくなっている
- なんなら野生動物だってビニールなど食べてしまっている
- 拾い食いの選別に見える行為は、ほとんどがただの好き嫌いや気分によるもの
- ガム、チキンの骨、焼き鳥の串、吸い殻、ゴミ…etc落ちているものにはロクなものがない!
- 毒餌など悪質なものもある
- 特定の場所に撒かれている猫の餌は犬にとって適切でない
よその犬に注意
基本的にお散歩中の犬同士のご挨拶はNGです
- リードに繋がれている時、犬は逃げられないので緊張度が上がる・自分とかいぬしさんを守るために追い払いや攻撃の行動に出やすい
- 離そうとしてかいぬしさんがリードを引く→攻撃のスイッチになりやすい
- 鼻と鼻の挨拶ができる事=社交的というわけではない
- うちの子はフレンドリー!はあてにならない
詳しくはこちらもどうぞ▼

「うちの子はフレンドリーだから」「どんな子とも上手に挨拶できるから」という、かいぬしさんから見た「フレンドリーさ」は所詮人間族に見えているものであって犬族の事情はわからないものです。
人間から見てフレンドリーに見える「へりくだった下からの挨拶」も度が過ぎたりしつこかったりすると相手の犬を刺激する事もあります。
また「お友達と挨拶しようね」「仲良くなれるかな」という「みんな仲良く」の感覚は非常に人間的なものであり、犬には関係ありません。
喧嘩や噛みつき事故を避けるため、大型犬のかいぬしさんは日常的に気をつけている方が多いと思いますが、
どんなサイズの犬でもよその犬とは距離をとり、知らない犬同士を近づけないようにやり過ごしましょう。
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かいぬしさんは結構大変!避けたい散歩コースは?
たくさん書いてきましたが、栄えた街ほどかいぬしさんはあちこち見なければいけないので大変ですよね。
私もトロントとかいう中都会に住んでいるので慣れるまで苦労しました。
なるべく楽にお散歩を楽しむ為に、無理せず忙しいコースは避けちゃいましょう。
- 交通量が多い道
- 幼稚園や保育園の前
- 通学時間・下校時間の通学路
- 食べ物のゴミが落ちている繁華街
- 猫の餌などが巻いてある場所
もちろんわんわんパトロールや犬もお子さんの送り迎えで慣れている場合は別ですが…
将来的に犬と一緒に観光地に旅行したいというかいぬしさんは、段階的に少しずつ賑やかな道に慣らしていく事をおすすめします。
⬆︎ワクチンプログラム中の子犬の期間にこういったカートやスリングに入れて、食べ物を食べながら外のいろんな物を紹介していくのがおすすめ。
そして危険予測は環境や他者という外側の要素だけでなく、自分の犬に対しても必要です。びっくりしていないかな?怖くなってないかな?などボディランゲージを学んで犬の反応を見れる様にしておくといいですよ。
散歩中に吠える!猫ダッシュ!興奮する!対処法

犬の変化に気づくためのヒント
猫や苦手なものに対して犬が突然吠えて困る、突然ダッシュしたり興奮して困る…びっくりするし大変ですよね。
でも実は、犬は吠えたりダッシュしたりする前に前触れがある事がほとんどです。
猫や食べ物、苦手なものなどのトリガーに気づく
この時点では犬は頭を上げ、耳が前を向いたり耳の付け根が上がったりします。
この間1〜3秒くらいで、ここでほぼロックオンしています。
トリガーをじっと見つめる
5秒くらい「気になるな、どうしようかな」と見つめる犬もいれば、1秒くらい見てすぐにダッシュ!など次の行動に移す犬もいます。
吠える、ダッシュするなどの行動が出る

もちろんかいぬしさんが先に気付いてトリガー対象を見せない方が楽ですが、
もし見てしまった場合は
の時点で次の様な対処をします。犬がトリガーを見てしまったらすること
- 犬の前に立つ(カットインという強めのカーミングシグナル・視覚刺激を軽減)→ここで犬が落ち着いたら褒める・トリーツを食べているうちに落ち着く
落ち着かない場合↓
- 犬の前に立ったまま簡単にできるトリック(お座りやお手など)をしたりトリーツを食べたりして注意をそらしながら、トリガーが去るのを待つ
- 足下にトリーツばらまきもOK
トリガーがなかなかどっか行ってくれない!↓
- 「ヒール(ついてきてね)」でその場を離れる
- あまりにかいぬしさんに余裕がなければそれはもう非常事態なので、鼻先にトリーツを当てて誘導しても構いません。暴れてしまうより全然マシです!
無事にやり過ごせる経験をたくさん積んでいきたいですね!
何秒も目標を見せたままにすると「飛びかかりたい!吠えたい!走って確かめたい!」というフラストレーションが上がりすぎてしまい、かいぬしさんの声が届かなくなってしまうので、すぐに対処すると良いです。
私と楓はこの方法でリスに対する興奮度を徐々に下げる事に成功しています。
以前はリスを見ると反射的に追いかけようとしていたのですが、今ではリスを見たら座ったり、かいぬしの顔を見る(そしたら報酬がもらえる)→気を取り直して歩き出す事ができる様になりました。
かいぬしの価値を上げておく
外で時々遭遇する猫やよその人などは「たまに会う」だけに刺激が強いです。
強い刺激にかいぬしさんの声かけが勝てる様に、普段の接し方を意識して信頼関係を作っていきましょう。
- 名前を呼んでおやつ(古典的条件付け)
- 呼びつけて嫌な事をしない、ケアはハズバンダリートレーニングで無理なく
- 取られて困る物は届く場所に置かないなど、叱らなくて良い環境設定
- 大きな音を立てたり、大声を出したりという予測不可能な事をしない
- 犬の要求には「いいよ/できないよ/待ってね(すぐ後に対処)」がブレない様に一貫する事で予測可能で役に立つ人間になる
- 犬が怖がる・不安を示す物との間に立って壁になるなど、助けてくれる安心安全の保護者になる
- 楽しい脳トレトレーニングを一緒に行う
という事で…
犬にせよ人にせよ、家族を守るというのは結構忙しいし大変な事です。
犬を守るのは私たちかいぬしであり、厳しいしつけや完璧なオビトレではありません。
私は現在トロントで犬を散歩させていて様々な事に注意をはらう必要があり、「地元並の田舎が散歩コースだったらもっと楽なのにな〜」と思う事が多々あります。
しかし犬を守れるのはかいぬしだけなので、なんとかやっていきましょうね…!