犬の散歩におけるしつけといえば「リーダーウォーク」ですね。
しかしこれがなかなかできる様にならなくて、同時に多くのかいぬしさんにとっての悩みのタネでもあります。
でも、本当に「完璧なリーダーウォーク」に仕上げなきゃいけないんでしょうか?
どんな歩き方ができたら安心なのか、ちょっと考えてみませんか!
この記事がおすすめのかいぬしさん
- 第三者に「リーダーウォークができてない」と言われて不安に感じている
- リーダーウォークをトレーニングしているけど、中々できずストレスだ
- そろそろお散歩デビューの予定
- これから犬を迎えたいけど、ちゃんとしつけられるか心配だ
ゆるいウォークができれば十分!
リーダーウォークはスマートでかっこよく見え、しっかりしつけられてる!という印象を与えます。
しかし犬にとって他人から見たお散歩のカッコよさなんて関係ありません。
- 完璧を目指すあまりリードショックを使って厳しくしつけ、犬が後ろから無表情でついてくるだけの散歩になってしまった(学習性無気力状態)
- なかなか犬が覚えてくれなくて、イライラするから犬もイライラ…
- リーダーウォークに見える様につけて歩きたいから、いつもリードを短く張ってしまい逆に引っ張る様になってしまった
そんなお散歩って全然楽しくないし、お散歩にいくのもストレスになってしまいますね。
それに匂い嗅ぎも自由にできず、犬はぴったり横か後ろについて離れてはいけない!かいぬしは犬を飼ったからには完璧にしつけろ!なんて…
ちょっと犬とかいぬしさんに対して厳しすぎる気がします。
犬も気質や性格がそれぞれですから、リーダーウォークがすぐできる様になる子もいれば、お散歩の最初や最後だけできる子、いつまでもできる様にならない子がいます。
私達は犬と仲良く暮らしたいのであって、文句も言わずただ着いてくるだけの従順なしもべに育てたい訳ではないんですよね…
せっかくお外に出たのに、「匂い嗅ぎするな!脇目もふらずぴったり着いて来い!」ではただ軍隊の様に行進しているだけで、犬のお散歩になりません。
わたしは↓の様なポイントを抑えていれば、リーダーウォークではなく、ゆるいウォークで十分だと思っています。
- 他者のいない場所ならリードの範囲で犬が前を歩いたって大丈夫
- 他者が近くにいる時や、交通量が多い道ではヒール(ついてきてね)をしよう
- 犬と周りをよく見て&リードは両手で持って「もしも」に備えよう
- 曲がり角やT字路では犬を先に行かせない!ちょっと待ってもらってヒトが先に安全確認をしよう
実はリーダーウォークを完璧にする(しようとする)事によって起きるデメリットもあるので、それもあわせて考えてみましょう。
実はある…リーダーウォークのデメリット
リーダーウォークができているから=安心ではない
リーダーウォークには犬を危険から守るという名目があり、しつけ教室などでさかんに教えられています。
- 車やバイクから犬を守るため
- 小さな子供に驚いて噛んでしまうのを避けるため
- 拾い食いを防止するため…など
しかしこれらから犬を守るのに必要なのはリーダーウォークという「フォーメーション」ではないと思います。
- かいぬしさんが周囲の危険に気づけずスマホなどを見ていたら犬を守れません
- 「リーダーウォークができているから大丈夫」と思ってただ歩いているだけでは犬を守れません
- 犬に後ろを歩かせていたらボディランゲージを見ることができず、変化に気づけず犬を守れません
結局のところ大切なのはかいぬしさんの危機管理力と「ヒール」や「こっちにきて」などの呼びかけに応じてくれる犬との信頼関係ではないでしょうか。
犬の変化に気付けず危ない
危機管理にはかいぬしさんが周りと自分の犬をよく見ながら歩くことが必須ですが、これはかいぬしさんがどれだけ注意を払えるかにかかっており、リーダーウォークができるから安全というイコールにはならないと思います。
犬が横を歩く▶︎かいぬしさんは首を動かさないと犬の様子を確認できませんが、それでも視界の端にはまだ入り込むので、首の動きは少しですみます。
犬が斜め後ろ〜後ろを歩く▶︎かいぬしさんからは完全に見えなくなり、変化に気づけません。
犬がやや前〜前を歩く▶︎犬の様子を見るのに首の動きがいらず、もっとも変化に気付きやすい。
どんな犬でも、なにかのきっかけで驚いたり、ダッシュしたりと想定外の動きをすることがあります。
そんな時完璧なリーダーウォークをしていて犬が斜め後ろ〜後ろにいたら、かいぬしさんは犬の変化に気づいてあげられず犬の出す突発的なエネルギーに対応しきれません。
突然の予期せぬ方向へのダッシュに、転倒してしまったりリードを離してしまって犬を迷子にしてしまう危険もあります。
お散歩中の危険予測と危機管理についてはこちらもどうぞ▼
無理に完璧を目指して信頼関係が崩れる
完璧なリーダーウォークを目指すあまり犬との信頼関係が崩れてしまう事もあります。
- トレーニングでリードショックや大きな音を鳴らすなどの嫌悪刺激を用いる
- 完璧でないといけないと思い、叱ることが多く激しくなっていく
- いつもリードを短く持ち犬の首に負担がかかっている
- おたがいに散歩中にイラつく
- リードで抑えつけているので犬の興奮度が上がったままの状態
- 厳しくしつけすぎて学習性無気力状態に→信頼関係ができていなく、かいぬしに頼れないため、有事の時は突発的に攻撃や逃走してしまう
- 「かいぬしへのフォーカス」を求めすぎて、犬の散歩で必要な匂い嗅ぎや情報収集・犬が自分で考えて行動することなど、様々なエンリッチメント機会を奪ってしまう
- リードショックや叱りなどの嫌悪刺激と、周りにいた犬や他人をペアリングしてしまい、嫌いなもの怖いものが増えてしまう→他者への吠えなど身を守る行動が発生する可能性
この様に、あまりに厳しくやってしまうと犬との信頼関係が崩れてしまいます。
お互いにいつもプレッシャーがかかってしまい、お互いのストレスレベルが高くなり、少しのきっかけで興奮状態になってしまうので危険です。
また犬は犬本来の行動がとれないばかりか、痛みや恐怖、不快感に苦しみます。チョークチェーン、プロング、スリップリードなどでショックを入れていると、首を痛めたり眼圧が上がって目の病気になる可能性も。
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Notリーダーウォーク!ゆるウォークの嬉しいメリット
完璧なリーダーウォークを目指さずゆるい散歩「ゆるウォーク」で歩いてみたらどうでしょうか。
ゆるウォークをしてみるとかいぬしさんも犬も楽になるメリットがたくさんあります。
やや前は最も犬を見やすく変化に気付きやすい
「ゆるい」リーダーウォークなのでショートリードは使わず、長めのリードを使います。
長めのリードをたるませて使うと自然とやや前を犬が歩く様になるので、犬の様子を見やすくなります。
この位置であれば、首を動かさなくても視線を動かすだけで前方・前方の地面・そして自分の犬を見る事ができますね。
もし犬が後ろに行ってしまったらかいぬしさんが下がって、犬を見れる位置に移動しましょう。
お互いのストレスが減る
これが一番大きい変化だと思います。
- かいぬしさんが「完璧なリーダーウォークじゃなくていい」という許しを自分に出す事ができると、お散歩にいくストレスが減る
- いつもぴったり犬をつけなくて良くなるので、お互いピリピリしなくなる
- 厳しくしなくて良いのでお散歩が楽しくなる
- リードを引っ張られなくなるので犬のストレスが減る
- 好きなタイミングで匂い嗅ぎができるので満足度がUP・エンリッチメントに
- 「脇目も振らずついてこい」のリーダーウォークと違って散歩が犬と人間の共同作業となるため、幸福度がUP
短いリードでゼーハー引っ張っていたのに、不思議と長めのリードをたるませると落ち着いて歩ける犬は少なくありません。
思い切って長めのリードを買ってみましょう。
ゆるウォークのやり方・考え方
ゆるウォークの装備
- 首輪ではなくハーネスを
- 長めのリード
ハーネスについて
首輪だと何かあった時の負担が最も弱い首に全てかかってしまうので、ハーネスをおすすめします。
すっぽ抜けがこわい場合は、首輪とハーネスをナスカンで繋いだり、ダブルリードにしましょう。
楓は現在poypetのハーネスを使っています。背面にハンドルがついていて便利!
リードについて
3mリードが一番犬に負担がないとされています。(※リードを引きずらないなど人間側のリードワークは必須)
リードを長く伸ばせない市街地や都心などにお住まいの場合は2mくらいのものを買うと良いでしょう。
▼こちらはユリウスK9の3mリード。滑り止めが織り込んであり持ちやすいです。
▼こちらは1.8mの我が家で使っているタイプで、限定的にヒールしてもらう時や犬が興奮した時などに掴めるハンドルが犬側についているので使いやすいです。
本格的に犬に優しい散歩をするには人気のない田舎や犬OKの公園で3m以上のリードを使うと良いと思いますが、市町村のルールがある場合はそちらにしたがってください。
例)トロント市ではリードの長さは2m以内と決められていますので、我が家では1.8mリードを使っています。
両手でしっかり握る事ができなく、とっさに手繰り寄せる事ができないフレキシブルリードはおすすめしません。
基本的にリードの長さの範囲内を歩いて貰えばOK
かいぬしさんはリードを両手で持ち、たるませたまま歩きます。
犬が近くに来たら…褒めながらリードが地面につかない様に手繰り寄せます。
犬が離れたら…リードが張らない様に送り出します。
犬が離れすぎてリードが張れたら…両手でリードを固定して止まります。犬が止まったら静かに褒め、また歩き出します。
詳しいリードワークのやり方やリードの持ち方、犬の止め方などはこちらの本が参考になります▼
リードワーク/夏目真利子 チャーリードッグスクールチャカチャカするなら家を出てすぐ、電柱や庭、あぜ道などで気が済むまで匂い嗅ぎさせると落ち着く場合もありますので試してみてください。
拾い食いをしたくて落ち着かない犬には、「安全な拾い食いゲーム」をすると満足するのでやってみてください▼
安全な拾い食いゲーム
- 犬の見ていない場所にトリーツを投げる
- 「探して」「サーチ」など声をかけてもOK
- 難しそうだったら誘導してヒントをだす
- 犬がトリーツを見つけて食べる
ゲームのヒント
- 安全な場所、安全な地面で行う
- いつものトリーツとは違うトリーツを使うのも楽しい
- 鼻を使うので満足度が高く、けっこう疲れます
「ヒール(ついてきてね)」は限定的にできればOK
- よその人、犬、小動物、子供、ベビーカー、自転車…など、他者への配慮が必要な時
- 歩道でのすれ違い
- 横断歩道を渡る時
- 交通量の多い道
- 曲がり角やT字路を曲がる時
- 拾い食いスポットに差し掛かった時
常に行動を制御されるリーダーウォークよりも、必要な時にヒールして褒められたらいいじゃない、という考え方です。強化の歴史の積み上げにもなりますし。
続けていけばそのうち犬の方から「こういう時はヒールだよね!」と来てくれる様になりますよ!
ノーリードの犬がよその犬を襲う事故が多発しています。
ロングリードがノーリードと同じになってしまわない様に注意が必要です。
近くによその犬がいる事を確認したら、自分の犬に近づいてリードを短く持ち、距離を保ちましょう!
まとめ
犬の散歩はかいぬしさんも犬も楽しく、楽ちんが一番幸せですね。
安全に歩けていれば、リーダーウォークを完璧にしなきゃ!とか、練習したいのに犬が集中してくれない!うちの子はいつまでたっても完璧にできない!とかヤキモキする必要はないと思うのです。
犬にはゆるりとしたリードで匂いを存分に嗅いでもらい、貴重なお散歩の時間を最大限自由に楽しんでもらいましょう。
カナダのパピー教室で習ったのは「リーダーウォーク」ではなく犬がついてきたら褒めるという方法の「Follow me!」でした。
トロントではチョークチェーン・プロングは使用してはいけないルールで、リードショックや体罰ではなくクリッカーの使い方を習います。
完璧なリーダーウォークをしているペアを見ても、「あの子はできるのに」とか「うちはいつまで経ってもできなくて…」と自分を責めないでくださいね。