いつもお読みいただきありがとうございます!
みなさんは、犬のしつけについて思うところはありませんか?
私はけっこう思うところアリアリです。
しつけと称した暴力が原因で預けた犬が死亡させられてしまった事件や、訓練学校でしつけ宿泊の最中に骨折させられた、しつけの為にやっているなどと犬を叩いたり吊り上げたり…など、この令和時代になってもおかしな事が起き続けています。
ここらで一度、しつけってなんだろう?という事を少し考えてみませんか!
しつけってなに?

元々しつけの言葉の意味は
広辞苑によると
躾 〔身部9画/16画/7731・6D3F〕 (国字) 〔訓〕しつけ [意味] みだしなみ。しつけ。 [解字] 「身」+「美」。身の立ち居ふるまいを美しくする意。「{{zd73a}}」も同義の国字。
元々はみだしなみ、身を美しくと書いて身の立ち居振る舞いを美しく、と言う意味なんですね。美しい日本語という印象です。
なのに「こどものしつけ」「犬のしつけ」と言うとどうも一気に厳しさを纏ってくる感覚がありませんか?
日本人の他人に迷惑をかけてはいけない、その為に身内には厳しくという特性?が影響している様な気もします。
そもそも、犬の身の立ち居振る舞いってどういったものでしょうか?ちょっと考えてみました▼
犬にとっての立ち振る居舞い
ボディランゲージやカーミングシグナルを使って、他の犬やヒトと平和的な暮らしをすること
多くのヒトが犬に望む立ち居振る舞い
ヒトの言うことをよく聞いて、大人しく落ち着いた暮らしをすること
犬界の犬の立ち居振る舞いは、紳士的な先輩犬と交流することで学べますし、犬的にはもうそれだけでパーフェクトなんですよね。
それ以外にヒトから望まれる立ち居振る舞いも期待されてしまう現代の犬はなかなか大変だと思います。
所詮はヒトが考えたもの
犬に対しての「しつけ」という言葉や概念を考え出したのは私たち人類ですね。あー徳が低い!
母犬が甘噛みする子犬にそれはダメだよ、と教えている様に見えるところを「母犬が子犬をしつけている」と解釈したりしますが、動物からしたら「しつけている」という概念はないわけで。
動物はヒトの様に、「されて困る事に対してしつけをしなければ」とか思っていませんよね。
その上ヒトは、動物と暮らしたがるくせに「されて困る事」が多すぎます。徳が低い!
つまりしつけとは、犬のためのものではなく、ヒトのための行為です。
しつけは犬のためならず。学ぶべきは私たちヒトです。
やってはいけないしつけ方法

罰を与える方法
もっともやってはいけないのが体罰を使う方法ですが、一昔前の犬のしつけでは罰を使う方法が当たり前でした(人間の子供にも体罰を加えるのが当たり前でしたね)
一昔前の間違ったしつけの流行の影響で、しつけとは言うことを聞かせるためのもの・力で支配することを正しいしつけだと勘違いしているヒトもいるでしょう。
困った事に、子供に対しても犬に対しても未だに体罰を使う古い考えのヒトはまだまだいますね…
- 叩く、蹴るなど
- リードを強く引く首輪ショック(ジャーク)
- 電気ショック首輪
- 天罰法
- 拘束、閉じ込め、愛情遮断…etc
罰を与えるしつけが良くない理由
特に体罰を使うと、犬が驚きや恐怖で萎縮し、痛みから身を守るために固まるので一時的には効果があった様に見えます。
そのため、利益だけを優先する業者などは体罰を使うんですね。楽に儲けられますから。
しかし罰を使ったしつけにはデメリットの方がたくさんあります。
罰を使うと起こるデメリットの例
- 動物福祉の五つの自由を損なう
- 犬は罰と原因を結びつけることができない(痛みやショックで分断してしまう)ため、ただ人間不信になるだけ
- かいぬしさんやヒトが近づいただけで逃げる様になる▶︎呼び戻しが効かなくなり、犬を迷子にしてしまう
- 身を守る為に唸りや噛みつきが出る▶︎日常生活に支障が出る・病院での診察も容易にできなくなる
- 犬が無気力性学習障害になる
- 罰を使う訓練士やトレーナーを信じた結果、かいぬしさんが人間性を損なう
- 罰によって失った犬との信頼関係はなかなか取り戻せない
直接ヒトが手を下していない電気ショック首輪や天罰法などはなぜいけないの?という疑問ですが…
首に電気が走る、天罰法で大きな音が鳴る、物が飛んでくるのは、必ずヒトがいる時です。ヒト不在の時は何も起こりません。
そのため犬はそれが起こった場所や時間などの環境だけでなく、ヒトつまりかいぬしさんの事も嫌な不快と結びつけてしまうんですね。
するとかいぬしさんに不信感を抱く様になり、かいぬしさんがいる時に嫌な事が起こらないか、かいぬしさんが攻撃してくるんじゃないかと怯えて過ごす様になってしまいます。
行動の理由を考えず、「しつけで」解決しようとしてはだめ
ヒトから見て望ましくない様に見える犬の行動にも、実は犬として当然の行動だったり、恐怖や生理的行動や周囲の環境条件など、様々な理由があります。
その行動がなぜ起きたのか?を考えずに「しつけで」解決できるものではないんですね。
しかしその考えるプロセスをすっ飛ばして、暴力的なしつけを行う業者は存在します。
- 犬が怖がって・嫌がってした行動を「しつけようとして」拘束したり、暴力をくわえる
例)バイクの音が怖くて座り込んでしまった犬を、強いリードショックで立たせる様に教える訓練士
- 犬の生理的な行動を「しつけようとして」拘束したり、暴力をくわえる
例1)シャンプー中のブルブルをさせない様に、前足が浮くほど首吊り状態にするトリマー
例2)おしっこを床にしてしまった犬を「おもらしするから」とお水も与えずクレートに閉じ込めっぱなしにするブリーダー
- 噛む犬を更生させる「しつけで」拘束したり、暴力をくわえる
例)暴力的なしつけを受けて噛む子になってしまったのに、さらに叩いて無気力性学習障害に追い込んだ状態を「治りました」と言う訓練士
…これらは残念ながら実際にあった話です。誰とは言えませんが。
どれも犬の精神・肉体ともにダメージが大きく、体調を崩したり、人間不信になるばかりか身を守る為に攻撃に出る犬になる可能性が非常に高いです。
そうなればヒトの手に負えなくなり、最終的には殺処分に行き着いてしまいます。
本来であれば犬とかいぬしさんをそうやって導くのがプロの役割なのに、困った行動が出たから暴力的なしつけをして治そう、ではあまりに短絡的です。
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危険な業者から犬を守るため、かいぬしさんができる事
残念ながら上で書いた様な事を平気で行う業者さんは存在していますし、最初に書いた様に預け先で「しつけと称して行った暴力」が原因で死亡させられる事件も起きています。
かいぬしさんが普段から暴力とは無縁の生活をしていても、犬の預け先では何が起きているかわかりません。
犬を預ける場合は、事前にしっかり調べましょう。
- ネットレビューと共に犬友さんに聞いてみて、とにかく口コミを調べる
- しつけ教室やトレーナーのサイトを見て、体罰を使う古いやり方でないか調べる(アルファリーダー論・主従関係・服従というワードが出てきたら、古い可能性が高い)
- 犬を預けて「しつけを入れて貰う」のではなく、かいぬしさんもご家族で一緒に教えて貰える教室やトレーナーを探す
- ガラス張りのサロンであれば、預ける前に見に行って犬の扱いが丁寧か判断する
- 2回目以降、犬を預ける時に犬が怯えていないか
- 犬が預け先から帰ってきた時に、怪我や怯えがあったり、様子がおかしくないか
- 犬を預ける様になってから、今まで怯えなかった事に突然怯えたり吠えたりしていないか
言い方は悪いですが、最初はここ大丈夫かなあって疑う位で丁度いいと思います。
特に口コミは重要で、「怪我させられた・殺された・罪を認めずすっとぼける・脅されて示談にさせられた」などの悪い評価の企業を見つけて事前に避けることができます。
少しでもあやしいなと思ったらSNSで検索したり利用したことのあるかいぬしさんに聞いてみましょう。
信頼できる良い預け先が見つかるといいですね。
犬だけ預けるのではかいぬしが学べないので意味がない、家族全員で参加するように言われました。
しつけを英訳するとdisciplineらしいのですが、我が家が通ったトロントのクリッカートレーニング教室の先生からは「しつけ/discipline」という単語を聞かなかった様に記憶しています。
それよりも先生は「マナー」「トレーニング」「ゲーム」を使っていました。
力で支配せずゲームの様にトレーニングしてマナーを学ぶ(かいぬしが)って素敵ですね!
犬にとって無理のないしつけ方法を

望ましい行動を褒める
望ましい行動を褒めて「強化する」とも言いますね。
- 望ましい行動に対して…褒める、ご褒美のトリーツ、ご褒美のお遊びなど
- 望ましくない行動に対して…何もしない
「ふせ」の練習中、まだ犬が理解していなくて「おすわり」や「おて」をしたり、集中力が切れてどっか行っちゃったら?
違う行動に対しては何もしなくてOK。
大きい声で何度もコマンドをかけたり、ちがう!ノー!と叱ったりしなくて大丈夫です。
褒めるタイミング・トリーツをあげるタイミングが重要です。
タイミングがずれると強化したい行動ではなく他の行動を強化してしまう事もあるので、褒めるタイミングを学ぶために初めて犬と暮らすかいぬしさんは犬同伴のしつけ教室へ行くと良いでしょう。
特にクリッカートレーニング教室ではトレーナーさんが「今です!」とクリッカーを鳴らすタイミングを教えてくれるので、体で覚えることができます。
▼クリッカーはこの様に手首にぶら下げられるタイプがおすすめ!
3回に1回、5回に1回とランダムにトリーツをあげるのが一番効果的と言われています。(これを変動比率強化スケジュールといいます)
▲2020年9月に発表された研究で、クリッカートレーニングにおける部分的な報酬は犬の学習速度を改善せず悲観的な感情を誘発するという結果がでました。
つまり犬は報われないとがっかりし、悲観的になるという事です。
犬を肥満にしたくないためにご褒美のトリーツを徐々に減らしていく場合は、褒め言葉やおもちゃなどトリーツ以外のご褒美も混ぜていきましょう。
が、トリーツはやはり犬にとって嬉しいものでモチベーションにもなるので、無理をしてご褒美ゼロを目指さなくてもいいのです。
犬の中にはトリーツよりも褒め言葉やおもちゃで遊ぶご褒美をありがたがる子もいます。
犬の様子を見ながら、良い塩梅のさじ加減でトリーツや褒め言葉を使っていきましょう。
望ましくない行動の理由を考える
問題とされる望ましくない行動の代表は吠える・噛む・引っ張るなどでしょうか。
こういった行動が出てきた時、かいぬしさんも困りますが実は犬が一番困っているので、叱ったりせずなぜその行動が出てきたのか?考える事が大事です。
こんな原因があるかも…
- どこかが痛い、具合が悪い
- 嫌な音を聴いた
- 怖い思いをしたことがある
- 興奮を自分で鎮められない
- 普段からストレスレベルが高い…etc
犬をよく観察していると、望まない行動の前や周囲の環境などの中に「あれっ、これが原因では?」と思えるものが出てきます。
その原因を取り除いたり、原因との接触を避けたり、避けられないものならばゆっくり慣らしたりするのが犬にとっては優しいやり方なのかなと思います。
その上で、して欲しい行動を促して、犬がしてくれたら褒めて強化しましょう。
これらを教えてくれるトレーナーさんを探す場合は、犬の習性や行動に理解が深く、一緒に原因を探って導いてくれる方がいいですね。
爪切りや足拭きなど、普段必要なお手入れをしかり言葉などの罰を使わずに慣らしたい場合は、ハズバンダリートレーニングの記事をご参考ください▼

一番大事なのは
なにより大切なのは、犬と暮らすことを選んだ私たちヒトの立ち居振る舞い、すなわちヒトのしつけだと思います。
それも難しい事ではなくて、ただ知る事から始まります。
犬の研究は現在進行形で続いており、新しい研究結果がバンバン出てきます。
その中には、古い情報が間違っていました!なんてのもたくさんあります。
代表的な間違いはアルファシンドローム(犬がヒトの上に立ちたがる理論)ですね。
愛犬を守るために、みなさんと一緒に学び続けていけたらと思います。