前回は犬が嫌がりにくい爪切りの方法を紹介しました。
今回はどこまで切ったらよいのかという説明と、具体的な切り方について書いていきます。
適切な長さと爪切りの頻度は?
歩いて音がしない長さがちょうどいい
犬の爪はスパイク的な役目をしています。
長すぎると歩きにくく、折れや引っ掛かりなど出血をともなう怪我に繋がってしまいます。
怪我だけでなく、歩き方が変わってしまい将来的に骨格や関節に悪影響が出る可能性も。
短すぎると走る時に地面をうまくつかめません。
ふんばっても爪が地面に届かないと力が分散されず、肉球に負担がかかってしまいます。
長すぎず短すぎない爪は、走る時や斜面を駆け上ったり穴を掘る時に肉球の助けになります。
特に山遊びをする犬や、ドッグランでたくさん走る犬の爪はぜひ長すぎず短すぎずをキープしてあげましょう。
適切な長さのめやすは爪と地面の間に少しすきまがある事▼
爪と地面の間に少しすきまがあれば、歩く時は邪魔にならず、踏ん張る時には地面に届いてスパイクになります。
お散歩でのすり減りとあわせて日常的にチェックを
お散歩で外を歩くと爪は自然にすり減っていきます。
ですが日々のお散歩だけで爪の長さがキープできる子もいれば、あまり爪がすり減らない子もいます。
天候などによってお散歩の回数や距離が変わったり、靴を履いたりもしますし、犬の体重によってもすり減り方が違うためもありますね。
うちの犬は毎日2〜3回ほどお散歩していますが、夏場は気持ち程度に爪切りをし、冬は靴を履く日があるので月1〜2回切っています。
靴のお話はこちら▼
狼爪も切りましょう
狼爪が生えている犬もいます。
狼爪は全力で走る時や傾斜のある場所でスパイクの役目をするのですが、それ以外では地面に触れづらいためにすり減りにくく、放っておくと巻き爪になってしまいます。
この爪も短すぎるとスパイクの役目を果たせません。
- 狼爪は無意味なものとして生まれた時に切除する流れがありましたが、最近では切除を行わないブリーダーも増えてきました。
- 一時は無意味と考えられた狼爪ですが、激しい動きが求められるアジリティ競技などでは狼爪がない犬の方が足に怪我を負うリスクが1.9倍になるという検証結果も出ています。
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伸びすぎた爪の神経・血管の対処法
爪と一緒に神経と血管もある程度まで伸びる
犬の爪の中には神経と血管が通っており、これをクイックと呼びます。
クイックは爪と一緒にある程度まで伸びるので、伸びすぎた爪が折れたり割れたりすると出血してしまうわけです。
少しずつ・頻繁に切る事で神経と血管は後退していく
一昔前は伸びすぎたら出血させてでも一気に短く切ってしまうのが主流でした。
現在では神経・血管は爪の長さにあわせて徐々に後退するという事がわかっています。
伸びすぎた爪は無理をせず、切れるところまで切る
↓
少しずつ・頻繁に爪切りを繰り返す(爪切りが苦手ならヤスリだけでもOK)
↓
爪にあわせて神経と血管も少しずつ後退していく
昔ながらの方法で一気に短くしてしまうと、出血やその後の雑菌の混入による感染症も心配ですし、なにより犬に痛い怖い思いをさせてしまいます。
痛さと怖さがトラウマとなり、二度と爪切りに協力してくれなくなるばかりか、痛い・怖いという嫌悪刺激が次々と周りの環境(トリマーさんなどヒトも含む)にペアリングしてしまい、苦痛の多い毎日になってしまう可能性があります。
爪の切り方とおすすめの爪切り
具体的な爪の切り方
狼爪も同じ様に切ります。
切れ味の良い爪切りで角度を変えながらすこしずつ、カドを取る様に切っていきましょう。
- 白い爪も黒い爪も、もっと切れるかも?と思うところで終了しましょう。
- 血管手前まで切った場合、その時は出血していなくてもお散歩や遊んでいる時などに地面に擦れて出血する可能性があります。
おすすめの爪切りはギロチン式
ギロチン式の爪切りは、ハサミ式やニッパー式よりも爪が見やすく、面を取る切り方がやりやすいです。
ただし超小型犬や狼爪などはギロチン式では切りにくかったり、ハサミ式の方が爪が見やすいという方もいるので、個人の使い心地で選んでください。
切れ味の良いものほど大きな音と衝撃が起きにくく、ヌルヌルと切れます。
バチン!と大きな音と衝撃が、爪切りを怖がる原因になる事もあるので切れ味の良いものを購入し、定期的に刃を交換したり買い替えたりすることをおすすめします。
おすすめは流石の国産 廣田工業さんのZan。切れ味が良いです▼
爪切りの後はヤスリを忘れずに
切った爪をなめらかに整えるためにヤスリをかけましょう。爪切りとセットで売られている事も多いです。
単体で買うならこのようなカーブがついているものが使いやすくておすすめ▼
カドを取る切り方をしておくと、すこしのヤスリがけでなめらかにできるので楽です。
意外と重要なヤスリをかける理由はだいたいこんな感じです▼
- 犬が足で顔を掻く時など、爪が鋭いままだと目や皮膚を傷つけてしまう
- お遊びの時にかいぬしや相手の犬が怪我してしまうかも
- 切りっぱなしの爪はささくれになりやすく、割れたりするのを避けるため
- カーペットや衣類に引っかかるのを防ぐ
出血に備えて、出血させない考え方を
このクイックストップですが、使用時に激しい痛みが発生する事を頭に入れておきましょう。
私がトリマー修行をしていた頃は伸びすぎた爪は当たり前の様に出血させて短くし、クイックストップで止血する様に習いました…これは「爪切り頼んだのに全然短くなってない!」というクレームを防止する為と思われますが、どうりで犬達は止血の時にも痛がって震えたり泣いていたわけです。
クイックストップは痛みを伴うものの、出血をすぐに止め、傷口からの感染をふせぐ為には使用せざるを得ない状況もあると思います。
万が一、出血させてしまった時用にお守りとして購入しておき、使わない事を目標として出血させない様に爪を切りましょう。
また少量の出血であれば小麦粉で代用し、圧迫して止血するという方法もあります。
爪切りを穏便にすます方法についてはこちらの記事をご参考に▼
お互いの苦痛を和らげるハズバンダリートレーニングはこちらをご参考に▼
まとめ
- 犬の爪は長すぎず短すぎず
- 歩いてチャカチャカと音がしたら切り時
- 伸びすぎた爪は少しずつ頻繁に切る事で、神経と血管は後退する
- 白い爪は色が変わる手前まで切る
- 黒い爪は断面が柔らかく白っぽくなったら切るのをやめる
- ギロチン式爪切りで面を取る様に少しずつ切る
- 最後にヤスリがけ
- クイックストップは実は痛い
- 出血させない事がなにより大事
長くなりましたが、そんな感じで今回は爪切りについてまとめました。
それでは、よい犬暮らしを!