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近年夏の暑さが増し、ゲリラ豪雨や強力な台風など異常気象が心配なところですが、日本ではいまだに犬を外に繋いで飼っている家もあるという現状に心を痛めております。
なので今回は「いまどきの飼い方」室内飼育について書いていきたいと思います。
室内飼いのメリット5つ
私には犬との触れ合いが減ってしまう室外飼育(繋ぎ飼い)にメリットが見出せないのですが(肉球の汚れを気にしなくて良い事くらい?)、室内飼いでは本当にたくさんのメリットがあります。
ここが嬉しい室内飼育のメリット
- 体調管理ができる、体調の変化に気づいてあげられる
- 悪天候から守ってあげられる
- 獣や害虫から守ってあげられる
- 危険な人間から守ってあげられる
- 人間と犬との信頼関係がより深まる
一つずつ詳しくみていきましょう▼
体調管理ができる
昔の犬は外に繋がれっぱなしで、散歩の時とご飯の時くらいしか様子を見てもらえませんでした。
そのため体調不良に気付いてあげられず、また犬の体調管理などあまり考えていなかった時代ですから病気になっても「なんだか元気がないね」「犬小屋に毛布でも敷いてやるか」程度で放っておかれ、「原因はわからないけど死んじゃったね…」「まあ歳だったし」というケースが多かったのです。
犬は綺麗好きですから、短い鎖に繋がれた狭い範囲で嘔吐などをしても自ら食べて片付けてしまう事があり、人知れず病が進行してしまいます。
犬の長寿に関係していると言われる医療発展の恩恵は受診しなければ受けられません。我々かいぬしがいかに異変に気付けるかが鍵になります。
室内飼育なら、下痢や嘔吐をしたり具合が悪そう、どこかが痛そうという犬の体調不良にすぐに気付いてあげられますね!
わざわざ外に出る必要がなくなると、ブラッシングなどのお手入れも気が向いた時にやりやすくなるので毛玉防止や皮膚の衛生なども保ってあげられます。
悪天候から守れる
昨今の夏は昔の様に涼しくありません。犬は暑さに弱い動物ですから、犬小屋や母屋から伸びる日陰だけでは暑さはしのげず命にかかわります。
東京オリンピックでは打ち水を対策としてあげていましたが、国もああ言っていたから!と灼熱の季節に犬のそばで打ち水なんてしてはいけませんよ。(国のいう事なんて当てにしちゃだめ)
蒸発した熱い湯気がパンティングの防げになり、逆に湯気をたくさん吸い込んで熱中症になってしまいます。
近年はゲリラ豪雨も多く、台風も強さを拡大しています。雨の多い地域では水たまりができて衛生面を保てず、台風では犬小屋ごと犬が飛んでしまったという話もありました。
日本で飼育頭数の多い小〜中型犬種の多くは雪国出身ではなく、冬の寒いなか屋外で健康を保つのは困難です。また雪国出身の犬種だとしても、日本ほどの豪雪地帯に人が住んでいる国は珍しい位ですのでやはり外に出しっぱなしは適していないでしょう。
寒い他国でもその多くは室内飼育をしており、夏も冬も外の犬小屋に繋ぎっぱなしのそり犬は管理が不十分であると指摘されています。
熊などから家畜を護る一部の屈強な犬種を外犬舎飼いしている方は標準的なドッグフードでは体温を保てないため、良質な脂肪や赤身など食事にもかなりお金をかけているとの事です。
室内飼育なら、過酷な気温の上下や悪天候から守ってあげられますね!
台風の時になって「外の犬を中にしまわなくちゃ」と準備をするよりも、あらかじめ中に入れておけば慌てなくてすみます。
突然家の中に入れられて、「家の中ってみんな居ていいね!」となった犬を台風が去って再び外に放り出すのも、社会的な欲求を持つ犬の気持ちを思うと居た堪れません。
獣や害虫から守れる
北海道で外飼いの犬がヒグマに殺される事件が多発しています。本州にもツキノワグマや猪、外来種で狂犬病を持っているかもしれないアライグマ、ハクビシンなどがいますから他人事ではありません。
- ヒグマ、ツキノワグマ、猪など大型の肉食〜雑食獣
- アライグマ、ハクビシンなど中型の肉食〜雑食獣
- 毒蛇、蜂、蛙、毛虫など毒を持つもの
- 蚊、ノミダニ、ネズミなど寄生虫やウイルスを媒介するもの
獣が近づいた時、犬は吠えるから気付いてあげられますか?気付いて急いで玄関から出てきたところでもう遅いですし、相手が熊では人間も襲われるかもしれませんよ。
またヒグマは大変執着深く、1頭襲えば他の犬も狙いますし、仕留め損なった獲物を狙ってしつこく徘徊する様になるため危険なうえ、熊は射殺処分対象になる事でしょう。
外飼いの犬に外でご飯を食べさせる時のにおいや、食べ残しなども熊などを引き寄せる原因になります。
室内飼育なら、外の生き物と接触する事はまずありません。絶対的に安全ですね!
また完全室内飼育でも狂犬病予防接種は義務ですので受けましょう。
悪い人間の悪事から守れる
熊もこわいですが、悪人による被害も相手が人間だけに揉めますし恐ろしいものです。
- 盗難・誘拐
- 暴行や毒殺
- 鎖を解かれ逃される
コロナ禍で犬の価値が上がった海外では、庭に出しておいた犬や繋ぎ待たせさせていた犬の盗難、転売が相継ぎました。純血種の子犬などは悪徳繁殖業者に連れて行かれ、レスキューされなければ一生檻に監禁され繁殖させられるという話も耳にしました。
よその家に繋がれている犬に石を投げたり、毒餌を食べさせたり、虐待する為に誘拐したり、鎖を外してわざと迷子にさせたりと、悪意を持った人間の狂気は本当に恐ろしいものがあります。
また悪意がなくても、犬が食べてはいけなものという知識を持たない近所の子供たちが、お菓子を食べさせてしまうなどの事故も起きる可能性は大いにありますね。
室内飼育なら、かいぬしさんが見ていないところで知らない人と接触する事はほぼありません。
人間の悪意からの被害は、室内飼育をする事と繋ぎ待たせをしない事で徹底的に阻止しましょう!
人間と犬の信頼関係が深まる
外飼いの子はお散歩やご飯が終わってじゃあねとかいぬしさんが玄関に消えていく時、とても悲しい顔をしています…昭和生まれの方なんかはそういった光景を見た事があるのではないでしょうか?
犬は社会的な欲求をもっており、仲間と共に暮らす生き物です。大抵の犬は一人で過ごす事が苦手なため、外に繋いでおかれては寂しさや不安から余計なストレスを感じてしまいます。
家の中にいれば何かと犬の世話ができますので、触れ合いの頻度も違ってきますね。
室内飼育なら、お家の中で家族と一緒にいられるので精神が満たされ、触れ合いが増えるため、家族との信頼関係が深まります。
また常に人間の言葉を聞くことができるので、より言葉への理解が進むのではないでしょうか。
家の中に犬がいると世話が大変だと思う人は犬と暮らすべきではないでしょう。
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番犬だから外飼いは言い訳にならない
「番犬として飼うんだから外で飼わないと!」昭和の時代を知っている方からすると、こう言いたくなるのもわかります。が!
あの頃外に繋がれていた犬といえば中型の和犬ミックス。そんな小さな可愛い子に一人ぼっちで番犬を任せられますか!?
番犬は家の中に居てこそ力を発揮する
もし仮に番犬だとしても、短い鎖に繋がれていたら吠える事しかできず番犬の役割は果たせません。
屋内の寝室から玄関の外まで犬の様子を見に行くにはどうしてもタイムラグが生じますし、昭和時代の様に〇〇さんちの犬が吠えているから様子を見に行くというご近所付き合いは現代では希薄になっています。
アメリカで夜間、家族の就寝中に不法侵入を吠えて教えた小さなテリアは家の中で寝ていたため、家族がすぐに異変に気づく事ができました。小型犬でも室内にいれば、立派に番犬を勤めてくれるのです。
これは日本にベルサリウスが来日しボルゾイが一躍有名になる遥か昔のお話ですが、友人の知人宅のボルゾイ2頭が室内でお留守番しており、連携して空き巣を捉えた事もありました。
番犬の役割は騒いで知らせる事、吠えや威嚇、時には攻撃をして対象を留め置く事です。そしてその後は人間の仕事ですから、犬に任せっぱなしで人間と連携が取れないのでは無責任です。
番犬は家族と連携して家を守る・家の中にいて家を守る方が、番犬として活躍できます。
犬の大きさや犬種にもよるでしょうが、家の中に犬がいるだけで、犬のいない家よりも空き巣などへの抑止効果になると思います。
愛犬には危ない事をさせたくないので、あくまでも日々の用心が大事で、家の中で番犬してもらうのも最終手段ですけどね。
日本には本物の番犬文化はおそらくない?
昭和の時代、犬は番犬として外に繋がれているのが当たり前でした。しかしそれ以前は放し飼いが当たり前だったのを、明治時代に犬畜規則が制定され繋がざるを得なくなった為、単純に紐で繋ぐ様になっただけではないでしょうか。
放し飼いの時代の犬が番犬をしていたかはわかりませんが、番犬の能力が発揮できない様な狭い範囲で係留して番犬とはこれいかに。おそらく外に繋いだ犬がストレスでよく吠える様になったため、「外飼い=番犬」は後付けではないかと思います。
我々日本人は犬を番犬にするトレーニング方法を持ちません。和犬のほとんどがマタギ犬として活躍した猟犬であり、その強い忠誠心から不審者に対して吠え結果として番犬にもなっていた、と考えるのが妥当と思うのですが、いかがでしょうか。
ガードドッグとしてのトレーニング法を知らない私たちがただ犬を外に繋いだだけで番犬などと言う・犬と連携する気がなく繋ぎっぱなしで犬任せなのは、ちゃんちゃらおかしいのです(強気)
ここで世界の番犬を見てみましょう
これは世界の番犬の一部です↓牧畜文化が栄えた土地や、大型肉食獣の生息する国では屈強な番犬がトレーニングを受け使役されています。
海外のガチの番犬に比べて、こんにち日本で見られる犬のほとんどは別の目的で繁殖されてきた犬種だったり、日本の住宅事情の関係で超小型犬だったりと、圧倒的に守られるべき存在です。
ガチのガードドッグ犬種の中からワーキング血統の犬が、ガードドッグのトレーニングを経てようやく立派な番犬となるのです。ガードドッグではない犬種や、またガードドッグ犬種でもワーキング血統ではなく家庭犬血統の子、ガードトレーニングを受けていない子を外で番犬させておく事は無理があるんですね。
またガードドッグの吠え方を聞いて、かいぬしさんはどんな武器を持って援護に行けば良いか判断できるという話もあります。海外のガチの番犬でも仕事をすれば人間が連携して援護しに来てくれる。日本の様に繋ぎっぱなしでほったらかし=番犬ではないんですね。
番犬がなんか騒いで追い払ったけど見に行かなかったので何かわからなかった、では畜産動物や財産を守れないですからね。
とにかく犬を家にしまって守りましょう!
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アメリカでの繋ぎ飼いについての声明
参考までに、調べていたら出て来たのでアメリカの事情も書いておきますね。
米国農務省(USDA)による声明
ちょっと古くて、1996年のものです。というか96年にはすでに繋ぎ飼いが反対されているんですね。
- 動物福祉法実践の経験から、繋ぎによる継続的な監禁は非人道的であると結論づけた
- 繋ぎは犬の動きを著しく制限し、小屋その他に引っ掛かり絡まった場合怪我を引き起こす可能性がある
はっきりと繋ぎ飼いは監禁であり、非人道的と結論が出ています。
米国獣医師会(AVMA)より
攻撃的な行動の原因になるため、犬を繋ぎ飼いしないでください
繋がれた犬は紐による狭い行動制限により、長期に渡って心理的なダメージを受けています。
見知らぬ人や動物など脅威が迫った時に逃げられず戦うしかないため、犬は不安で攻撃的になります。
犬も猫も室内で適正な飼育を
- いまどきは室内で適正飼育を
- 室内飼育なら嬉しいメリットがたくさん
- 室外飼育(繋ぎ飼い)は危険がたくさん
- 番犬だから外、は言い訳にならない
ちなみに私の住むトロントでは1時間以上の繋ぎは許されていません。もし犬が外に繋ぎ飼いされていたら、通報されて犬は保護されるでしょう。
外繋ぎだろうが室内だろうが1時間以上犬を係留してはいけない為、日本の一部のトレーナーさんが使う「室内でリードで繋ぎっぱなしにして主従関係を〜」などというしつけ方法も通用しないわけですね。トロントの飼育ルールが気になる方はこちらの記事もどうぞ▼
犬も猫も、室内で動物福祉に沿った適正飼育をするのが令和時代です。
今まで外に繋いでいたとしても、室内で適正飼育をするために学ぶ人が多くなるといいですね。