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犬と平和に暮らすには犬について知識を得ることが必須ですね。
現代では昔の様に犬を外に放っておくのではなく、室内で共に生活をしますので知識が足りない状態で犬を迎えてしまうと犬の正常な行動にイライラしてしまったり、どんな環境を作ってあげたらお互いが困る行動が起きないのかが解らず困る事にもなります。
- 愛犬を正しく理解したい
- 犬の情報がありすぎてどれが良いのか解らない
- 犬のサイトやプロ、誰を信じたら良いか解らない
- すでに行動の問題を抱えている
- これから犬を迎えたいので学びたい
今回は犬を知ることができるおすすめ本を紹介しようと思います。
おすすめは科学的な裏付けのある本
犬についての本はたくさん売ってますし情報も溢れていますよね。残念ながらそれらが全部正しいわけではありません。
一度間違った情報を信じてしまうと正しい情報を見聞きした時に「そんなはずがない」と感じてしまい、正しい知識を受け入れられなくなる可能性があります。
過去の自分が選んだ情報が間違っていた事を認めなければならないため、苦悩が伴い方向転換に苦労しますし、何より間違っているのでお互いが傷つく事にもなりかねません。
またサイコロジーとか行動心理とか動物行動心理学とか?プロが言っている事、ほんまかいなと思った事はありませんか?
根拠が曖昧な情報を鵜呑みにしてしまう前にぜひ一度きちんとした本を読み、自分の目で確認しましょう!!!
古い情報やへんなビジネスを信じて犬との信頼関係がボロボロになったり、犬が酷い目に遭わないためにも、科学的な裏付けのある本を読むのがおすすめです!
本選びのポイント
著者の職業や博士号の有無など、人物像をチェック。
書店で中を見れる時は、巻末の方に情報の出典が載っているかチェック。
参考書籍や論文などの元情報が載っていない場合、根拠があるのかあやしいのでおすすめしません。
ここからは私が読んで良かった本をまとめていきます↓
ここで紹介する本は殆どが日本獣医動物行動研究会の推薦図書になっています。
ナショジオ 犬の能力
ナショナルジオグラフィックの別冊本です。オールカラーで写真も多く、雑誌サイズなので字が大きくて読みやすい!
この本では犬の歴史や能力、犬のいる人間社会など様々なトピックごとにとてもわかりやすく簡潔にまとめられています。公平さの話題は多頭飼育のご家庭にとって興味深いのではないでしょうか。
非常に読みやすいので初心者向けとしてもおすすめですし、リビングに置いて家族に見せるにもピッタリの本だと思います。
この本を読んだ後、下で紹介する本を読んでいくとスムーズに理解が深まると思います!
犬はあなたをこう見ている 最新の動物行動学でわかる犬の心理
動物行動学の入り口として定番中の定番。
著者は英国の動物学者であるジョン・ブラッドショー。
ちょっとだけ古い本ですが、犬と平和に暮らすためには必読のいきおいでおすすめします。
ヒトと犬の歴史における「飼いならし」で何が起こったか?犬の起源から現代の犬のしつけまでを科学的な視点で学べます。
一見難しいかも?と身構えてしまいそうな情報量ですが、犬好きなら意外とサクサク読めてしまいますよ!
みんなでこの本を読んで犬を悪者にする「犬が家を支配したがっている」などの、犬と対立しなきゃいけなくなるアルファ理論を覆しましょう!
しつけについても罰を使うのがなぜいけないのか解説されています。安心安全なトレーナーを選ぶためにも、読んでおきたい本です。
猫の下僕をやっている方には同著者の「猫的感覚」もあります。
犬の一生を網羅した最新版の行動学の本では、英語本ですがTODD博士の「Wag」もおすすめ。こちらの記事で紹介してます▼
犬から見た世界 その目で耳で鼻で感じていること
これも2012年発行と少しだけ昔ではあるけれど、全然古く感じない内容です。
めちゃくちゃ面白い。NYタイムズベストセラーだそう。
著者は犬の認知行動学で認知科学の博士号を取得しているアレクサンドラ・ホロウィッツ。
著者自身での観察+他の科学者の研究結果を元に、犬について科学的に、しかしわかりやすく書いている。
本書の最後の方には犬を犬らしく、という事が書かれており、ホロウィッツ博士の犬好きなところもうかがえます。飼い犬を犬にするな(犬の正常行動を許すな常に100%コントロールしろ?)なんて言うプロもいますがそれがどれだけ傲慢で滑稽な事か。失礼しちゃうね。
この本には犬が家具を破壊するとかしないとかの問題にも罰を使わずに解決するヒントがうかがえます。
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犬のココロをよむ 伴侶動物学からわかること
どうしても罰を使いたいプロの方で「犬の行動の研究は海外のものだから日本には通用しない」などと言う方がいるんですけども、日本にも犬の研究されている方はいらっしゃいますー!(大声)
それに和犬の気質や日本の生活環境という違いはあれど、学習のしくみは同じです。
著者は獣医学博士で麻布大学教授の菊水健史、同大学准教授の永澤美保。
このお二人の所属するチームでは2022年に犬がヒトの最良の友になるための遺伝的手がかりを発見されてます。詳しくは大学プレスセンター記事へ
菊水先生の最新の研究には「ヒトイヌ共生によるWell-beingの向上」などがあります。
本書では海外の研究も本の研究も難しくない言葉で簡潔に紹介しており、時々コラムも挟まれていてサラッと読めてしまいます!
人、狼、犬で発達した視線のコミュニケーションについて、共感性は個体の生存確立を上げること、ネアンデルタール人と現代人の生存競争を左右したのは犬説などとても面白い内容です。
番外編 狼の群れはなぜ真剣に遊ぶのか
以前受けた高山仁志先生のセミナーで、こんな話題が出ました。
しつけの話で祖先が出てくるのは犬だけ。
ヒトだと猿がこうだったからとは言われない。
犬だけが、狼を引き合いに出される。
以前の記事で狼のアルファ研究観察が間違っていた事を紹介しましたが、じゃあ実際狼の群れってどんな感じなの?を知りたい方におすすめの本です。
著者はドイツ狼保護協会設立者でドイツにおける狼研究第一人者のエリ・H・ラディンガー。
この本では野生の狼の野外調査を通して狼の群れの真実を知ることができます。
アルファ狼による支配のパックであるという「アルファ神話」が野外調査によって覆されていく爽快さに加え、重要な問題を決めるのは雌であること、カラスとの関係など興味深い観察結果がたくさん!
動物行動学を学ぶ上で気をつけたい事
- 動物行動学はその種の行動を統計的に調べて分類している
- 新しい観察結果や実験結果、論文はどんどん更新されていく
- 犬の行動はボディランゲージが見れないと始まらない
- 行動学者はトレーニングのプロではないので混同しない様に考える
- 犬に行動を教えたい・行動を修正したい(置き換えたい)場合、動物行動学の博士ではなく、応用行動分析学を学んだ罰を使わないプロの助けが必要
統計外の個体もいるはずだからあてにならない
科学的な根拠を元に、統計外の個の存在も大切にして目の前の犬を見ることが大事
科学は日進月歩なのであてにならない(だから◯十年前に習った罰を使う方法をやめたくない・新しく勉強したくない)
学び続ける必要がある。常に新しい情報を得られる様にアンテナを張り、より良い方へみんなで教え合いながら進んで行く
だから博士が卓上でやっている研究よりも現場の経験の方が大事だ
動物のリサーチは卓上だけではできない。実際に犬に参加してもらい、現場でとったデータも含まれるので参考にしないなんて勿体無い
プロの場合新しい情報を学ぼうとしないのは犬のためではなく、完全に自分は正しい・今までやってきたやり方を変えたくないというプライドや、古いやり方を続けている所属団体の中での立場を守るためではないでしょうか。
本当に犬のためを思っていたら自分が今使っている罰や矯正を使う方法を「だってこれが正しいんだもん」「そう習ったから」などと言っている場合ではなく「より犬と飼い主さんに親切な方法」を学ぶ姿勢があるはずだと思います。
以前罰を使っていた方も今は方向転換して罰を使わない犬育てを学び続ける時代になってきています。海外では方向転換したトレーナーをクロスオーバートレーナーと呼びます。
日本でもクロスオーバーのプロが増えたら嬉しいし、罰を使うという自分がやってきたことを受け入れて方向転換するのは非常に勇気も努力も必要で、素晴らしいことだと思います。
できる限りみんなで一緒に良き方へ良き方へと行きたいですよね!
動物行動学の本で犬という種の行動の傾向を学んだら、是非ボディランゲージも見れる様になりましょう!
そんな感じで犬を知るのにおすすめな本をいくつか紹介しました。ご参考になれば幸いです!
トレーニングやお散歩、遊び方などでおすすめの本はまた別の記事にまとめようと思います。