いつもご観覧いただきありがとうございます。今回は菊ちゃんがとある動物病院に入りたくない!になってしまったので力を使わないやり方でトレーニングし、それが非常に爆速でうまくいった話です。

ここで紹介するトレーニングプランは菊ちゃん用オーダーメイドで、どの犬もこれでいける!という訳ではないのですが、ポジティブトレーニングってこんな感じだよなど何かしらの参考になれば幸いです。

後で気づいたんですが画像の©️aganokamiがaganokamになってますが直せないので気にしないでください。

発端は違う病院での眼科の検査

かかりつけ病院では特に問題なし

若い犬あるあるですが遊んでいて茂みに突っ込んだりお友達の前脚が当たったりと、ちょっと眼の調子が悪くなってしまった菊ちゃんは、最初はかかりつけの動物病院で目薬を処方されました。

もともと眼を少し広げてチェックする練習and目薬はハズバンダリートレーニング(Cooperative care training)で練習していたため、目薬も難なくうてたし眼圧などの検査も保定なしでできるほどでした。

あが

パピーのうちから練習しておく事の大切さがわかりました

一度それでおさまったけれど、また再発したのでかかりつけ医から眼科医のいる別の病院へ行く様に言われました。

別の病院で嫌になっちゃった

さて紹介された病院は遠くて休みじゃないと行けず予約日も迫っていた為、Happy visit(日本でいうおやつ外来みたいな、おやつ食べに行くだけの経験)をしにいく時間がありませんでした。

しかし場に慣れて欲しいので、↓以下の事をしました

来院するたびにやった事

ちょっといいおやつを持っていく

強化履歴を積み上げる

帰りに公園などに寄って遊んで帰る

ちなみにかかりつけ病院では↑毎回これ全部+社会化期にHappy visit +空いてたら体重だけ測っておやつ食べて帰るを行っています。

強化履歴の積み上げは、Laura Monaco Torelli先生の講義より。

すでに犬ができる簡単なトリックであるハンドターゲットやFind itなどを様々な環境で行い、正の強化を得る事で自信を構築します。

Laura Monaco Torelli先生のwebサイトはこちら

ハンドターゲットとは

人間の手に犬が体の一部をつけるトリック。鼻が教えやすい。エレベーターマナーの記事でも書いてます

Find itとは

トリーツを投げたり隠したりして犬が探すアクティビティ

正の強化とは

Positive Reinforcement。行動に対して強化子(学び手が望む刺激)を追加するとその行動の頻度や確率や強さが増したり維持する現象・手続き

そんな事を行いながら、2回ほど問題なく通ったのですが、3回目くらいで「病院に入りたくない」と言い、クジラ目・耳の引き・尻尾の巻き込み・伏せて固くなるといったストレスシグナルが見られました。

家族がドアを開けたところ道路側へ逃げそうになり、それに気づいたスタッフさんがおやつを持って出て来てくれたので、おやつを食べる勢いを利用して入れました。

診察室へ降りるエレベーターを拒否。みんなでおやつを進行方向に投げたり励ましたりしてなんとか診察室に入れました。

あが

こういう時スタッフさん達が協力してくださるのですが、誰一人嫌がる犬を無理やり引っ張っていこうとせず、優しく誘ったり少しでも自分の足で進めたらおやつをくれたりと、励ましの姿勢なのが本当にいいなあと思います。

無理やり引っ張って行くと次からもっと強く抵抗する必要が出て、予後がストレスフルになるので…

イヤイヤの原因として可能性のあるもの

ここの病院は診察室にかいぬしが入らない為、毎回一人で連れて行かれて侵襲度の高い検査を受けるのが不安の蓄積になってしまったのかもしれません。かかりつけ医ではかいぬしが診察室に一緒に入り、診察や検査とおやつを関連づけたり保定に参加したりします。

診察室が地下1階のため、圧迫感を感じているかもしれません(私は感じています)

ヒートも重なっていろんな出来事に慎重になっていたり、だるくて少しナーバスになっていたのも関係しているかもしれません。

ヒートや思春期で敏感・慎重になっている時に他者のストレスホルモンが充満した病院へ行く事は、子犬の頃は平気だったのに怖がる・逃げる様になるなど、それまでとは違う行動が出てくる可能性があり、それは成長に伴う正常な行動です。

この眼科医は救急もやっているため、かかりつけ医にはいない入院患者の不安な匂いや手術の匂いなどがするのも要素としてあるかもしれません。

いろいろあるわんよ

あが

予防的な事をおこなっていても、様々な要素が重なってある時イヤイヤ〜ってなる可能性はあります

でも予防や強化歴があったからこそ大暴れや逃走につながらずに済んだのかなと思います

またそのおかげでこの後行うトレーニングが爆速で成功したとも言えるので、ポジティブな経験の積み上げは、やっておくに越した事はないのです。

トレーニングプランを立てる

しつけは犬にとって無理の無いプランを立てよう

プランを立てる上で気をつけたい事

今回は菊ちゃんがすでに知っている場所・すでに嫌がっている場所という事で、全く知らない刺激に食べ物などの良いものを関連づけしていくよりも難しいトレーニングになると思いました。

ドッグトレーニングはまず環境を考えよう

立地条件は↑こんな感じで、病院前の歩道のすぐ隣が交通量の多い道路になっています。

強制的に病院の方向へ引っ張ったり逃げない様に拘束する事で、ストレスの閾値を超えてしまい大きな反射の力を発生させ道路へ飛び出す事態は絶対に防ぎたいですよね。

ストレスの閾値とは

その個体が耐えられる心身のストレスの限界値のこと

なにせ超大型犬が本気で嫌がった時のパワーには人間は勝てませんので、私が力を使う事で犬にも力を使うように促してしまう事はNGと考えています。

菊ちゃんが自信をつけられる様な、感情的なサポートも同時に行うのが目的のため、プロングカラーやスリップリーシュなどを使痛みや窒息感(生得的な危機感)でコントロールする事もやりたくありません。

やらない事
  • 力を使っての強制的なコントロール
  • 侵襲度の高い犬具を使う
  • 無理に病院の方向へ誘う、誘導する、後退を阻止する
やりたい事
  • ボディランゲージを見ながらストレスの閾値以下を保つ
  • いつもと同じハーネスと長めのリーシュを装備
  • 無理をさせない、待つ、付き合う、時間を見て切り上げる
  • 菊ちゃんのNOを聞く▶︎いつでも後退してOK!菊ちゃんが後退を選ぶ時は、止めずについていく
  • 車に戻って休憩をとってもOK
  • 菊ちゃんが自由に動きつつ、菊ちゃんからのYESの時(閾値以下・要ボディランゲージ確認)に状況に応じてマークandトリーツ
  • あわよくばカウンターコンディショニングが起きて病院に対する感情がポジティブなものに変わるといいな
マークandトリーツとは

強化子がトリーツの場合。強化したい行動をマークして(合図を出して)学び手にその行動が強化される事を伝える。マークは必ず強化子が提供されるという契約でもある

マークは声の合図でも良いかと思いますが、今回はすでに病院が嫌になっているという感情をできるだけチェンジするサポートが欲しかったため、菊ちゃんの大好きなクリッカーにしました。

トリーツは菊ちゃんにとって価値の高い肉肉しいものを使いました。

成功できるよう環境を考える

成功するためには成功しやすい環境づくりから。という事でこんな環境で行います。

トレーニングの前に匂い嗅ぎと排泄をしよう

通行人と交通量の多い時間を避ける→10〜15時のあいだ位

胃捻転の予防と、強化子として使う食べ物の飽和状態を避ける→朝ごはんのあと4〜5時間以上経過していること・朝ごはんは抜かない

暑くない日を選ぶ→余計なストレスを防ぐ。暑いと体調が心配で私も焦って判断ミスをする

間近でドッグパークに行かない→何が起こるかわからない。嫌な事に巻き込まれコルチゾールが過剰に分泌されると元に戻るまで数日かかる。ストレスの少ないいつもの状態でトレーニングを行いたい

今回はこんなプランを立てました

ドッグトレーニングのプランを考える

車から降りたら、近くの芝生で匂い嗅ぎや排泄を自由に、いつもの様にゆるいリーシュでついて行く

気が済むまで周辺を散歩してもOK、どこへ向かってもついて行く

病院の方を見て確認したり匂いを嗅いだりしたら待つ、少しでも足が向かったらマークしてトリーツ

病院の方へ向かっている事をマーク&トリーツしながら可能なら少しずつ前進、トリーツを追って食べる様なら少し前に投げて提供する。時々find itも混ぜながら楽しく。地面の匂いを嗅いだり情報を集めている時は待つ

病院の近くまで来たらいきなりドアへ向かわず通り過ぎながらマーク&トリーツを2回くらいやりたい。この時、待合室に他の犬がいないか確認する。他の犬がいない→6へ。他の犬がいる→ご迷惑がかかったり吠えられたりするかもしれないので終了

ドアへ近づける様になったら、ドアの前にトリーツを投げて食べてもらったり、匂いを嗅いで情報収集してもらう。リラックスしたままここまで来られたらドアを開けられるかもしれないので、かいぬし2が先に入り、受付スタッフさんに練習させてくださいと伝える

ドア前でストレスサインが見られない様なら、ドアに手をかけてマーク&トリーツ、ドアをガチャっとしてマーク&トリーツ、少し開けてマーク&トリーツと進めて行く

ドア全開まで進め、すでに待合室にいるかいぬし2を見つけて自ら中に入れたらマーク&トリーツ、スタッフさんからもおやつをもらったりと、お祝いしてもらう

通院まで休みの都合がなかなかつかずトレーニングできる日が1日しかなかったため、可能ならドアを開けて病院に入りたいけど、無理そうならできるところまでで終了するというプランにしました。

菊ちゃんは自由に後退でき、車に戻って休憩してもOKです。後退する場合はついていき、リーシュを引いて引き戻したり逃げない様に拘束したりはしません。

もしこういったトレーニングをされたい場合は、罰を使わないトレーナーの指導のもと、どの程度・どのくらいの期間病院を嫌がっているか?など犬の状態によって数回に分けて行ってください。

前提条件として、菊ちゃんはすでにクリッカートレーニングの仕組みを理解していて、クリッカーが大好きになっている状態です。

クリッカー未経験の犬さんは、音にびっくりするかもしれないから、クリッカートレーニングに精通したトレーナーさんに頼ってわんね!

実際のトレーニング時のレポ

ドッグトレーニングの実際の犬の動き

トレーニング当日はこんな感じでした。

車から降りたら予想通り芝生で匂い嗅ぎと排泄

交差点の様子を眺めたりしながら意外にも病院の方向へ進むのでついて行く

病院側の歩道に前脚が乗ったところでクリック&トリーツ

3のトリーツを食べたらすぐ後退、車まで戻る

一旦車で休憩するかな?と思うもすぐにまた病院の方へ向かうので歩きながらクリック&トリーツ

さっきよりも病院への距離が縮まったが、芝生まで後退。ついて行く

芝生で匂い嗅ぎ後、また病院へ向かってくれたので歩きながらクリック&トリーツ。無事にドアを通り越した先でfind it

クリック&トリーツしながらドアの前を行ったり来たり。しつつ中を確認すると会計してもう帰る犬さんがいた為いったん通り過ぎてfind itしたり匂い嗅ぎしながら待つ

ドアの前へ行き匂いを嗅ぎ始めたので待ち、嗅ぎ終わったところでドアから少し離れた方向へトリーツを投げて食べている間にかいぬし2が中へ入りスタッフさんに話をつける

ドアを開けてクリックandトリーツを開始。すんなり全開まで進められた

自らドアから病院に入りクリックandトリーツ、スタッフさんにもおやつを貰ったり甘やかしてもらってゴール!

ここまで、全体で15分〜20分あるかないか位だったと思います。すごく早く終わったなって印象です。

菊ちゃんは歩幅が大きいので駐車場の曲がり角から病院に向かう道では3〜5回クリックするかしないか位でした。トリーツは小さくちぎったものなので、全体的にはそんなに量を食べませんでした。

後退を決意する直前に尻込みと筋肉の緊張が見られましたが、後退先の車付近や芝生で匂い嗅ぎをした後はまた柔らかくなっていました。

最初の後退は走ったのでリーシュがビーンとならない様に私も走ってついて行き、二度目の後退は小走りくらいだったと思います。後退以外は全体的に落ち着いてゆっくり動いていました。

ドア前で匂い嗅ぎして他の犬の不安な情報を取り入れているにもかかわらず、とても落ち着いていてストレスサインが見られなかった事と(見落としているだけの可能性あり)、一回のトレーニングですんなり中へ入れたのが驚きでした!

あが

無事終わったのでほっとしました

トレーニング後、初の来院時の様子

ドッグトレーニングの結果

トレーニングの翌週が通院日でした。トレーニングはとてもうまく行ったので、もしサポートが必要だとしても、5〜10回もクリックしたらドアへ入れそうだなと予測していました。

一応クリッカーと、ええ感じの肉肉しいおやつも持参。

ところが驚く事に、菊ちゃんは車から降りて芝生で排泄した後、自らずんずん病院へ向かい、シレッと中に入りました!

待合室ではダウンしてハンドターゲットをやったり、受付スタッフさんに声をかけてもらったりとリラックスして過ごせました。

あんなに拒否していたエレベーターにも自分でサッサと乗り。病院に入るところまではトレーニングしましたが、エレベーターは流石にトレーニングしなかったので驚きです。

天才かと思ったでしょう!

あが

思ったよ〜!ポジティブトレーニングの凄さも実感した!

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まとめ:犬のNOを聞いた方が速く成功する

犬のNOを聞くのは自然なコミュニケーション

ここまでトレーニングの様子を読んでいただきありがとうございます。

今回の成功のキモはこんな感じだと思います↓

  • 病院=目的地である事を知っていて、なおかつ病院での強化履歴がある為に自ら向かう事ができたのかもしれない
  • 強化履歴がある=嫌な記憶だけではない
  • いつでも自分のタイミングで後退できるからこそ、再び前進ができる
  • 基本は犬についていき、必要に応じてタイミングよくクリックするなどサポートを行う

もし今回の様なトレーニングで無理やり病院の方へ引っ張って誘導したり、後退を許さなかった場合、菊ちゃんは自分で行動する事を諦めてこちらの指示を聞いて病院に入ったかもしれません。

しかしそれだと、病院を嫌がったネガティブな感情+無理やり引っ張られて嫌なところに連れて行かれる不安や恐怖+NOを聞いてもらえなかった無力感が積み上がってしまいます。

私は犬がネガティブな感情のままこちらの言う事を聞く状態を望んでいません。様々な場所で自信を持ってできるだけ楽観的でいられる事を望んでいます。

私たちも含めて生き物は自らをコントロールして自らの行動で環境に影響を与え、強化を得ていきたいわけです。

今回菊ちゃんは自らのNOで後退した際に負の強化+芝生で匂い嗅ぎして正の強化を得て、YESな時に前進してクリック&トリーツやfind itによって正の強化を得たのかなと思います。

回避して負の強化を得たからといって、ずっと回避行動ばかりが強化される訳ではない良い例ですね。

負の強化とは

Negative Reinforcement。学び手が望まない刺激(嫌悪刺激)を取り除くと、その直前の行動の頻度や確率や強さが増したり維持する現象・手続き。例)怒られないための行動や、頭痛薬を飲む行動

犬からのNOって、実は全然困った事や悪い事じゃないんですよね。

私たちも嫌知らずされたら悲しいし絶望するしイラつきますし、受け入れてもらったらホッとしますよね。犬のNOを受け入れても、知識と技術があればトレーニングは進みます。

むしろ犬からのNOとYESを受け入れるやり方の方が、信頼貯金も貯まるし犬は安心して学べて速く成功できると思います。

そんな感じで、これからもfear free・force freeなポジティブトレーニングを勉強していこうと思います。

あが

それでは、よい犬暮らしを!